書けるのに読めない、ミステリー作家

ある日突然、字が読めなくなる。目は見えているのに、書くことはできるのに、いま自分で書いたばかりの字が読めない・・ こんなことが想像できるでしょうか?書けるのに読めない障害、失読症 を知っていますか?2001年7月31日、カナダのミステリー作家である ハワード・エンゲル はいつもの朝と同じように目を覚ました。服を着て朝食を用意したあと朝刊を取りに玄関に向かった。そして、そこで目にしたものは、いつものトロント新聞であったが、印刷されている文字がセルビア語か韓国語のようであり、何かのジョークかと思い、書斎に戻り英語で書かれているはずの本を開いて、困惑した。その本の文字も新聞と同じようにチンプンカンプンであった。彼は脳卒中により高次脳機能障害を患っていた。文字を見ることはできるが、文字が何を意味しているのか想像することすらできなかった。もう小説を書くことはできない、もう私の人生は終わりだ、と自分に言い聞かせた。しかし、文字を書くことはできた。文字が読めなくなってからも執筆を続け、カナダの私立探偵ベニー・クーパーマン、Memory Book がベストセラーとなった。今では、書く能力を応用することで文字を読むこともできるようになった。最初は 指 で文字を空中になぞることで文字を認識していたが、今では、舌 で歯の内側に文字をなぞることで認識のスピードを上げ、目で読むほど早くはいかないが、映画の字幕であれば、字幕が消える前に少なくとも半分の文字を認識できる程度まで読むスピードが戻っている。by NPR
